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動物園だより : NO.193

動物リアクションシリーズその⑪ チンパンジー寝室でのひと工夫

動物リアクションシリーズその⑪
チンパンジー寝室でのひと工夫

①夕方、寝室収容時の夕食の時間。動物用の出入り口は隣の寝室と展示場へつながっています。
②夕食の時間は隣の寝室と行き来が自由にできるようにしました。


トラ、ライオン、チンパンジー、オランウータンの展示場の裏には寝室があり、夜間は必ずその寝室で過ごします。これらの動物は飼育員が直接同じ部屋に入ると危険なので、外側からレバーを操作し扉を開閉し移動させます。もちろん移動先の部屋には好物の食べ物があり、オランウータン、トラ、ライオンは好物めがけて毎日スムーズに移動をしています。
しかし、チンパンジー9頭の群れは稀に1~2頭、展示場から寝室に帰らないことがあります。寝室内には好物の果物などをたくさん入れています。また、移動行動を強化するため、蜂蜜やパンなどの大好物を混ぜることもあります。それでも頑なに寝室に帰らないことがあります。
野生のチンパンジーは群れで暮らしていますが、時には小グループにわかれ離合集散を繰り返し、常に同じメンバーで暮らしているわけではないようです。また、寝るときはそれぞれ木の上に寝床を作り一夜を明かします。仲間内でケンカなどして他のチンパンジーと距離を置きたい時や、また、一頭になる時間も必要なのかもしれません。
動物園の獣舎の広さ、構造にはもちろん限界があります。9頭の群れの寝室は2部屋(1部屋:約2.5m×3.5m)あり、以前はこの2つの寝室に決まった個体を収容していましたが、現在は2つの寝室を自由に行き来できるように食事をさせ、食事が終わると各部屋の扉を閉めるという工夫をしています。そうすると、チンパンジー達は一緒にいたい個体を手を引っ張って呼んだり、また一緒にいたくないチンパンジーを避けたりし、2部屋の間を移動しながら食事をしています。日によって各部屋のメンバーは違っていて、多少は夜を共にする個体を選択できるようになったのではないかと思います。また以前よりは幾分早く寝室に帰ってくるようになりました。
チンパンジーは個性が強く、また他のチンパンジーの性格をよく把握して互いにつきあいます。こういった人間っぽい社会性は複雑で、単純に食べ物では行動をコントロールできないこともあります。大変ですが、チンパンジーらしさを尊重し対応していきたいと思います。(飼育課 郡)

③夕食が終わると就寝。5歳のユズはまだ母親のリズに抱っこしてもらって寝ます。

平成27年7月8日